当院で実際に手術が必要となった割合
2018年から2024年までの7年間に、当院を初めて受診された痔核(いぼ痔)の患者さんは10,021名でした。
このうち、手術を受けられた患者さんは1,473名で、手術率は14.7%でした。
言い換えると、100人の患者さんのうち約85人は座薬や軟膏、内服薬などによる保存的治療(内科的治療)で経過をみることができ、約15人が手術を選択されたことになります。
一般的に、肛門科専門病院における痔核の手術率は10〜20%程度が標準的とされています。
手術率が極端に低い場合には、本来手術が望ましい患者さんに十分な治療が提供されていない可能性があります。一方で、手術率が極端に高い場合には、保存的治療で改善が期待できる患者さんにも手術が行われている可能性があります。
適切なタイミングで、適切な患者さんに手術を行うことが、専門医に求められる重要な役割です。
病状別の治療はコラム『内痔核(いぼ痔)の病状進行と治療法選択について』の回を参照してください。
痔核で手術を検討する主なケース
肛門科専門医の間では、痔核に対する手術適応には大きな違いはありません。
代表的には、次のような場合に手術を検討します。
① 脱出によって日常生活に支障をきたしている
排便のたびに痔核が脱出し、指で押し戻してもすぐに出てきたり、歩行中や立っているだけで脱出してしまう場合には、日常生活への影響が大きく、手術が勧められます。
② 保存的治療で改善しない、あるいは再発を繰り返す
座薬や軟膏、内服薬などによる治療を続けても症状が改善しない場合や、一時的によくなっても何度も再発を繰り返す場合には、手術が根本的な治療となることがあります。
③ 慢性裂肛や肛門狭窄を伴っている
慢性的な裂肛(切れ痔)や肛門狭窄(肛門が狭くなった状態)を合併している場合は、保存的治療だけで改善することは難しく、手術が必要となることがあります。
④ ALTA(ジオン)硬化療法後に再発した
ALTA硬化療法(ジオン注射)後に再発した痔核では、保存的治療のみで十分な改善が得られないことが多く、手術が適応となるケースがあります。
最も大切なのは患者さんご自身の意思です
手術適応には医学的な基準がありますが、最終的に最も大切なのは患者さん自身の希望です。
「症状があっても手術はまだ希望しない」
「できるだけ早く根本的に治したい」
どちらも尊重されるべき大切な考え方です。
手術適応があると判断した場合は、適切な時期に手術を受けることで、不必要に長期間通院を続けることを避け、症状から早く解放されることでQOL(生活の質)の向上につながります。
当院の考え方
当院では、「手術ありき」の診療は行っておりません。
患者さんの希望を伺い、保存的治療で経過をみるのか、手術を行うのかを考えながら、最適な治療方針を決定しています。
痔核でお困りの方は、一人で悩まず、お気軽にご相談ください。







