肛門の痛みを引き起こす病気には、裂肛、痔核、肛門周囲膿瘍、痔瘻、感染症などがあります。痛むタイミングや、腫れ、出血、発熱、皮膚の変化などによって、考えられる原因は異なります。
裂肛(切れ痔)
硬い便や下痢などによって、肛門のが裂けた状態です。
排便時に鋭く痛み、排便後もしばらく痛みが続くことがあります。トイレットペーパーや便の表面に、鮮やかな赤い血が付くこともあります。
慢性化すると肛門が狭くなることがあるため、便通を整え、適切な治療を受けることが大切です。
コラム『裂肛「切れ痔」はとても痛い!』の回をご参照ください。
内痔核(いぼ痔)
内痔核は、肛門の内側にある血管を含む組織が腫れ、出血や脱出を起こす病気です。
通常は強い痛みを伴わないことが多いですが、大きくなって肛門外へ脱出すると、炎症や腫れによって痛みを生じることがあります。
脱出した内痔核が戻らず、肛門括約筋に締め付けられると、血流が悪くなり、強く腫れて持続的に痛むことがあります。
コラム『いぼ痔の手術の適応は??』の回をご参照ください。
血栓性外痔核
肛門の外側の血管内に血のかたまりができ、突然、硬く痛いしこりが生じる病気です。
座る、歩く、排便するなどの動作で痛みが強くなります。多くは軟膏などを使用することで、時間とともに改善します。
肛門周囲膿瘍
肛門の周囲に細菌感染が起こり、膿がたまる病気です。
何もしていなくてもズキズキと痛み、時間とともに悪化します。発熱、悪寒、倦怠感を伴うこともあります。
膿を外へ出す処置が必要になることが多いため、発熱を伴う肛門痛や急速に強くなる痛みがある場合は、早めの受診が必要です。
コラム『手術の必要性や手術率は? ⑤肛門周囲膿瘍(のうよう)編』の回をご参照ください。
痔瘻(あな痔)
痔瘻は、肛門の内側と周囲の皮膚との間に、膿の通り道ができる病気です。多くは肛門周囲膿瘍に続いて発症します。
同じ場所が繰り返し腫れる、膿や血液が出る、下着が汚れるといった症状がみられます。膿がたまると痛み、膿が出ると一時的に軽くなることがあります。
自然に治ることは少ないため、症状を繰り返す場合は診察が必要です。
コラム『痔瘻(じろう・あな痔)とはどんな病気?』の回をご参照ください。
肛門部ヘルペスなどの感染症
肛門部ヘルペスでは、肛門の周囲に小さな水疱ができ、その後、ただれや潰瘍となって強く痛むことがあります。
ピリピリ、ヒリヒリとした痛みや灼熱感があり、排便時に痛みが強くなることもあります。初めて発症した場合には、発熱や倦怠感を伴うことがあります。
水疱や潰瘍は、ほかの感染症や皮膚疾患でも生じるため、自己判断せず診察を受けることが大切です。
機能性肛門痛
診察や検査で明らかな病気が見つからないにもかかわらず、肛門や直腸の奥に痛みを感じることがあります。
突然、刺すような痛みが短時間起こるタイプや、鈍い痛みや圧迫感が長く続くタイプがあります。ほかの病気がないことを確認したうえで診断します。
コラム『第1回:肛門病気が無いのに肛門が痛い『肛門痛症』とは?』の回をご参照ください。
肛門がん・直腸がん
頻度は高くありませんが、肛門や直腸の腫瘍でも痛みを生じることがあります。
痛みや出血が長引く、硬いしこりがある、便が細くなった、排便習慣が変化した場合には注意が必要です。痔と似た症状も多いため、長引く場合は自己判断せず受診してください。
早めに受診したほうがよい症状
次のような症状がある場合は、早めに肛門科や大腸肛門外科を受診してください。
- 強い痛みが続く、または急速に悪化する
- 発熱や悪寒を伴う
- 肛門周囲が赤く腫れている
- 膿や血液が出ている
- 水疱、ただれ、潰瘍がある
- 脱出した痔核が戻らない
- 痛みや出血を繰り返している
肛門の痛みには、薬や便通の調整で改善する病気もあれば、早急な処置が必要な病気もあります。
特に、発熱を伴う痛み、時間とともに強くなる痛み、戻らない痔核の脱出、水疱や潰瘍を伴う場合には、早めにご相談ください。







