「喉に何か引っかかっている感じがする」「喉が締め付けられるような感じがする」「食べ物が通りにくい気がする」――このような症状を喉のつかえ感・閉塞感として訴えて受診される方がいます。
原因はさまざまで、食道や咽頭の病気だけでなく、耳鼻咽喉科領域の病気、胃酸の逆流、さらにはストレスや不安などが関係している場合もあります。
食道の病気
食道がん
注意が必要な病気の一つが食道がんです。
食道がんは初期には症状がないことも多いですが、進行すると食道が狭くなり、
食べ物がつかえる
飲み込みにくい
胸の奥に違和感がある
食べたときにしみる、痛む
体重が減る
声がかすれる
などの症状が現れることがあります。特に「以前は普通に食べられていたのに、最近だんだん固形物が通りにくくなってきた」という場合には注意が必要です。
このような場合には、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)で食道を確認することが重要です。
逆流性食道炎など
胃酸が食道へ逆流する逆流性食道炎でも、胸やけだけでなく、胸や喉のつかえ感を感じることがあります。
胃酸などの逆流が喉まで影響すると、喉の違和感や咳、声の違和感などとして感じられることもあります。
咽頭・喉頭の病気
喉そのものに原因がある場合もあります。
咽頭がん・喉頭がん
咽頭、特に下咽頭がんでは、
飲み込むときの違和感、飲み込みにくさ
なかなか治らない喉の痛み
声の変化・声のかすれ
血の混じった痰
首のしこり
耳に響くような痛み
などが現れることがあります。下咽頭がんは初期には自覚症状がないこともあります。
また、喉頭がんでも、喉の異物感や飲み込むときの痛み、嗄声(声のかすれ)などがみられることがあります。
これらの病気が疑われる場合には、耳鼻咽喉科で鼻から細い内視鏡を入れて咽頭・喉頭を観察する検査が重要になります。
耳鼻咽喉科領域の良性疾患
がん以外にも、喉の炎症、鼻炎・副鼻腔炎に伴う後鼻漏など、さまざまな耳鼻咽喉科領域の病気によって喉の異物感や違和感を感じることがあります。
「鼻水が喉に落ちる」「痰がからむ」「咳払いが多い」「声がかすれる」などの症状を伴う場合には、耳鼻咽喉科領域の病気も考える必要があります。
検査をしても異常がない場合 ―「咽喉頭異常感症」
胃カメラや耳鼻咽喉科の検査を行っても、喉や食道に明らかな異常が見つからないにもかかわらず、
「喉に何か詰まっている」
「喉に梅干しの種のようなものがある」
「喉を締め付けられている」
と感じることがあります。
このような状態は咽喉頭異常感症(globus sensation)などと呼ばれます。
典型的には、本当に食べ物が通らないというより、食事は普通にできるにもかかわらず、食事をしていないときに喉の異物感・圧迫感を感じることがあります。ストレス、不安、緊張、胃食道逆流、喉周囲の筋肉の緊張など複数の要因が関係すると考えられています。
ただし、最初から「ストレスのせい」と決めつけることは適切ではありません。
食道や咽頭・喉頭に病気がないことを確認してから判断することが大切です。
半夏厚朴湯が効果を示すこともあります
検査で明らかな器質的疾患が認められず、ストレスや不安などが関係する喉の異物感には、漢方薬の半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を使用することがあります。
半夏厚朴湯は、医療用医薬品としても「気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感がある」ような症状を伴う不安神経症や神経性胃炎などに適応があります。
ただし、半夏厚朴湯を飲めばすべての喉のつかえ感が改善するわけではありません。特に新しく出現した症状や、次第に悪化している症状の場合には、漢方治療を始める前に原因となる病気がないかを確認することが重要です。
このような症状がある場合は早めに受診してください
特に、
食べ物が実際につかえる
飲み込みにくさが徐々に悪化している
飲み込むと痛い
体重が減ってきた
声のかすれが続いている
喉の痛みが続いている
首にしこりがある
血の混じった痰や喉からの出血がある
といった症状がある場合には、食道がんや咽頭・喉頭がんなどを含めた精査が必要です。
「喉のつかえ感」を放置せず、一度ご相談ください
喉のつかえ感・閉塞感には、食道の病気、咽頭・喉頭の病気、胃酸の逆流、耳鼻咽喉科領域の病気、ストレスや不安など、さまざまな原因があります。
「ストレスだと思っていたら食道の病気が見つかった」という可能性もあるため、症状が続く場合には自己判断せず、一度医療機関を受診することをおすすめします。
当院では、必要に応じて胃カメラによる食道・胃の精査を行い、咽頭・喉頭など耳鼻咽喉科領域の精査が必要と判断した場合には、耳鼻咽喉科での診察をご案内します。
喉のつかえ感や飲み込みにくさが気になる方は、お気軽にご相談ください。







