潰瘍性大腸炎とクローン病は、腸管に慢性的な炎症をきたす炎症性腸疾患です。近年、治療薬の進歩により、従来の5-ASA製剤、ステロイド、免疫調節薬、抗TNFα抗体製剤、抗インテグリン抗体製剤、JAK阻害薬などに加えて、IL-23を標的とした生物学的製剤が使用されるようになっています。
IL-23とは
IL-23は、免疫反応に関わるサイトカインの一つです。腸管の炎症では、IL-23がTh17細胞などの免疫細胞を活性化し、炎症を持続させる一因になると考えられています。
IL-23は「p19」と「p40」という2つの構成成分から成ります。IL-23p19抗体製剤は、このうちIL-23に特異的なp19サブユニットを選択的に阻害する薬剤です。これにより、炎症を引き起こす免疫経路を抑え、腸管粘膜の炎症改善、症状の改善、寛解維持を目指します。
主なIL-23p19抗体製剤
現在、潰瘍性大腸炎・クローン病に対して使用される主なIL-23p19抗体製剤には、以下があります。
1. リサンキズマブ(商品名:スキリージ)
中等症から重症のクローン病および潰瘍性大腸炎に対して使用されます。
通常は、点滴静注による導入療法を行った後、皮下注射による維持療法へ移行します。クローン病、潰瘍性大腸炎のいずれにおいても、既存治療で効果不十分な場合に選択肢となります。
2. ミリキズマブ(商品名:オンボー)
中等症から重症のクローン病および潰瘍性大腸炎に対して使用されます。
点滴静注による導入療法後、皮下注射による維持療法を行います。潰瘍性大腸炎では4週間ごとの皮下注射、クローン病では疾患活動性や治療経過に応じた投与が行われます。
3. グセルクマブ(商品名:トレムフィア)
もともと乾癬領域で使用されてきたIL-23p19抗体製剤ですが、潰瘍性大腸炎およびクローン病にも使用されるようになっています。
潰瘍性大腸炎では点滴静注また皮下注射による導入療法後に皮下注射へ移行します。クローン病では皮下注射による導入・維持療法が行われます。既存治療で十分な効果が得られない中等症から重症例で治療選択肢となります。
期待される効果
IL-23p19抗体製剤では、以下のような効果が期待されます。
・下痢、血便、腹痛などの症状改善
・腸管粘膜の炎症改善
・寛解導入および寛解維持
・ステロイド使用量の減量、離脱
・再燃予防
・長期的な腸管障害の進行抑制
特に、従来治療で十分な効果が得られない患者さんや、抗TNFα抗体製剤などで効果が不十分となった患者さんにおいて、新たな治療選択肢となります。
副作用・注意点
IL-23p19抗体製剤は比較的安全性の高い生物学的製剤とされていますが、免疫に関わる薬剤であるため、副作用には注意が必要です。
主な副作用として、・上気道感染、咽頭炎、鼻咽頭炎・注射部位反応・発疹、かゆみ
・頭痛・倦怠感・肝機能異常・アレルギー反応などがあります。
炎症性腸疾患治療でお悩みの方は当院へご相談ください。







