裂肛(れっこう)は、一般的に「切れ痔」と呼ばれる病気です。
硬い便の通過や強いいきみによって肛門の皮膚が裂けることで発症します。
繰り返し傷ができることで慢性化し、やがて肛門狭窄や肛門ポリープ(肥大乳頭)などの二次的な病変を引き起こすことがあります。
今回は、その仕組みについて解説します。
裂肛が慢性化する仕組み
肛門は排便のたびに伸び縮みする場所です。
裂肛ができると痛みが生じ、その刺激によって肛門括約筋か過剰に収縮・痙攣(けいれん)します。
すると、
- 肛門の血流が低下する
- 傷の治りが悪くなる
- 再び排便で傷が裂ける
という悪循環が生じ『切れ癖』となります。
この状態が続くと、急性裂肛から慢性裂肛へ移行します。
なぜ肛門狭窄になるのか?
慢性裂肛では、傷を修復しようとして周囲に線維化(瘢痕形成)が起こります。
皮膚の傷跡が硬くなるのと同じように、肛門にも硬い瘢痕組織が形成されます。
この瘢痕組織は正常な肛門上皮より伸びにくいため、
- 肛門の柔軟性が失われる
- 排便時に十分広がらなくなる
- さらに裂肛を繰り返す
という状態になります。
その結果、肛門の出口が狭くなり、肛門狭窄が生じます。
肛門狭窄の症状
- 便が細くなる
- 排便時の強い痛み
- 排便に時間がかかる
- 便が出しにくい
- 残便感
などがみられます。
なぜ肛門ポリープができるのか?
慢性裂肛では傷の近くに長期間炎症が続きます。
肛門管の内側には「肛門乳頭」と呼ばれる小さな粘膜の突起がありますが、慢性的な刺激によって徐々に大きくなります。
これが肥大乳頭(肛門ポリープ)です。
名前に「ポリープ」とつきますが、大腸ポリープのようながん化する病変ではありません。
慢性的な炎症に対する反応として形成される良性病変です。
肛門ポリープの症状
- 排便時の違和感
- 肛門の異物感
- 排便後の残便感
- 出血
などがみられることがあります。
詳しくはコラム『切れ痔だったのにイボができた? 皮垂と肛門ポリープについて』の回を参照してください。
見張りいぼ(Skin tag)も慢性裂肛の特徴
慢性裂肛では、傷の外側に皮膚の膨らみができることがあります。
これを見張りいぼ(sentinel tag)と呼びます。
慢性裂肛の患者さんでは、
- 裂肛
- 肛門ポリープ(肥大乳頭)
- 見張りいぼ
の3つが同時に認められることが少なくありません。
これらは慢性裂肛の代表的な所見です。
裂肛は早期治療が重要です
裂肛の多くは、
- 便秘の改善
- 食事・水分摂取の見直し
- 軟膏治療
- 排便習慣の改善
によって治癒します。
しかし慢性化して肛門狭窄を生じると、薬だけでは改善が難しくなり、手術が必要となる場合があります。
詳しくはコラムの『手術の必要性や手術率は? ②裂肛(切れ痔)編』の回を参照してください。
「排便時の痛みが続く」「便が細くなってきた」「切れ痔を何度も繰り返す」という方は、早めに肛門科を受診することをおすすめします。
まとめ
✅ 裂肛を繰り返すと傷跡が硬くなり、肛門狭窄を引き起こす
✅ 慢性的な炎症によって肛門乳頭が肥大し、肛門ポリープ(肥大乳頭)が形成される
✅ 慢性裂肛では「裂肛・肛門ポリープ・見張りいぼ」という三徴がしばしば認められる
✅ 慢性化すると手術が必要になることもあるため、早期治療が大切
裂肛は単なる「切れ痔」と軽視されがちですが、放置すると肛門の形態や機能に影響を及ぼすことがあります。
痛みや出血が続く場合は、早めの専門医受診をおすすめします。
症状でお困りの方は当院へご相談ください。







