裂肛(きれぢ)
裂肛(きれぢ)と肛門狭窄の原因と症状
「切れ痔」は医学用語では「裂肛(れっこう)」と呼び、肛門の粘膜が便で切れて発症します。
肛門は、血流が多く、痛みを感じる知覚神経が発達しているため、出血や痛みを伴います。
また慢性化すると肛門のポリープや見張りイボができ、さらに長期になりますと肛門が細くなる「肛門狭窄症(こうもんきょうさくしょう)」となります。
肛門狭窄になった場合、便が出にくくなります。
裂肛と肛門狭窄の治療 保存的治療と手術適応
保存的療法
生活習慣やお薬を使って、便の状態が硬すぎたり下痢にならないようにすることが、保存的治療の基本です。
また出血を伴う場合は、坐剤による治療を行います。
手術の適応
裂肛(切れ痔)の部分が慢性化して、すぐに切れる状態が長期に続く場合は手術適応となります。
また肛門狭窄となった場合、『肛門が細い→切れやすい→治る時にさらに肛門が細くなる→さらに切れやすい』という悪循環となります。
それを断ち切るために肛門狭窄解除術(狭窄した内括約筋と粘膜の切開)の適応となります。
裂肛と肛門狭窄の手術について
1.側方内括約筋切開術:LSIS(エルエスアイエス)
排便のたびに、肛門が切れてしまう場合は、内外肛門括約筋の過緊張により、裂肛部分が切れやすくなっています。
そこで、この括約筋の過緊張状態を改善する手術が「側方内括約筋切開術:LSIS(正式名称 Lateral Subctaneous Internal Sphincterotomy)」です。
具体的には内括約筋の一部を切開し、狭くなっている肛門を少し拡げることで、狭窄と緊張を解除します。
括約筋の切開は適切な範囲内ですので、肛門の締まりが悪くなることはまずありません。
2.裂肛切除と皮膚弁移動術(Sliding Skin Graft:SSG)
裂肛を繰り返すことで、肛門がかなり狭くなってしまい、肛門狭窄の原因が肛門の皮膚部分にも及ぶ場合に、特に有効です。
裂肛切除を通常通りに行った後に、切除した部分の近くに皮膚を移動させてもってくることで、肛門部分が拡がることになります。
スライドさせた皮膚の近くに三日月状の減張切開を行い緊張を解除して、皮膚が肛門に寄りやすくします。