肛門痛症における①器質的疾患による直腸肛門痛については、「第1回」で解説しました。
今回のコラムでは、②〜④の機能性・神経性の痛みについて解説します。
② 機能性直腸肛門痛
■肛門挙筋症候群
昼間に直腸肛門部の鈍い痛みや灼熱感が20分以上持続することが多く、長時間の座位や車・自転車の運転で増悪する傾向があります。会陰部や坐骨部、大腿部へ放散痛を伴うこともあり、直腸肛門の閉塞感や排便困難を訴える場合もあります。
診断は以下の3項目に基づきます。
a)慢性または反復する直腸肛門痛
b)痛みが30分以上持続する
c)肛門診察にて、恥骨直腸筋(肛門後方)牽引時に圧痛を認める
■非特異的機能性直腸肛門痛
症状は肛門挙筋症候群とほぼ同様ですが、診断上の違いは、
c)恥骨直腸筋牽引時に圧痛を認めない
の点にあります。
■一過性直腸痛(消散性直腸肛門痛)
夜間から早朝にかけて、肛門の奥に突然、刺されるような激痛が出現し、数秒〜数分で自然に消失するのが特徴です。仙骨神経由来の疼痛や筋攣縮が関与すると考えられています。誘因としてストレスや排便が指摘されていますが、多くは原因不明です。
③ 機能性排便障害
代表的なものとして、協調運動障害(骨盤底筋機能障害)が挙げられます。
排便時に本来弛緩すべき筋肉が適切に緩まない、あるいは直腸からの排出力が低下することにより、排便困難が生じる状態です。
④ 神経障害性疼痛(陰部神経痛)
骨盤内の陰部神経が圧迫や炎症により障害されることで発症します。
肛門や会陰部に痛みや灼熱感を生じ、座位で悪化し、歩行や臥位で軽快するのが特徴です。原因としては、長時間の座位、出産、自転車運転などが挙げられます。
進行すると、排便時痛や排尿困難を伴うこともあります。
肛門の痛みは、必ずしも目に見える病変が原因とは限らず、今回ご紹介したような機能性・神経性の異常が関与している場合も少なくありません。
適切な診断に基づいた治療が重要です。
次回のコラムでは肛門痛症の治療について解説します。
肛門の痛みでお困りの方は、どうぞ当院へご相談ください。







