直腸脱
直腸脱の原因と症状
「直腸脱」は肛門から直腸が脱出する状態です。
直腸壁がくるりとひっくり返って裏返しになり、肛門の外に飛び出してしまいます。
原因としては肛門を締める「肛門括約筋」が加齢により緩むことが最も多く、高齢の女性に多い病気です。
また排便時にいきみ過ぎることも一因となります。
まれに先天的な要因もあり若年者で発症する場合もあります。
脱出の程度により「完全直腸脱」と「不完全直腸脱」に分類されます。
脱出は大きい場合には10cm以上となる場合があります。
直腸脱の手術について
直腸脱は薬等による保存的治療法はありません。治療は手術のみです。
1.経腹式 (腹部を切開して手術)
開腹手術または腹腔鏡手術で行います。脱出している直腸をつり上げて骨膜と固定します。
根治性は高いですが、全身麻酔の手術でお腹を切りますので侵襲(身体へのダメージ)があります。
2.経会陰式 (肛門からの手術)
肛門から手術を行います。
様々な手術術式がありますが、当院ではGant-Miwa法+Thiersch法:ガントミワ+ティールッシュ法を行います。
- Gant-Miwa法
- 脱出した直腸の粘膜を、絞り染めの要領で徐々に縫い縮めます。すると直腸は肛門の中へ徐々に吸い込まれる様に入っていきます。
- Thiersch法
- 次に肛門の周囲に、特殊な伸縮性のあるヒモ状のものを挿入します。当院では人工靱帯に使用する非常に伸縮性のある太めのヒモを挿入します。これにより弱い肛門括約筋を補強します。