肛門皮垂(こうもんひすい)とは、肛門周囲の皮膚が伸びて、たるみやヒダのように残った状態です。英語では「スキンタグ(skin tag)」と呼ばれます。
痔核(いぼ痔)の腫れや裂肛(切れ痔)などに伴って形成されることが多く、肛門周囲に小さな皮膚の突起として認められます。
肛門皮垂そのものは良性の変化であり、通常はがん化することはありません。 また、症状がなければ必ずしも切除する必要はありません。
① 肛門皮垂ができる主な原因
肛門皮垂は、肛門周囲の皮膚が腫れたり、炎症を繰り返したりすることで形成されます。
主な原因として、以下のものがあります。
● 痔核(いぼ痔)の腫れのあと
痔核が腫れたり、肛門周囲に強いむくみ(浮腫)が生じたりした後、腫れが引いても、伸びた皮膚だけがたるんで残ることがあります。
特に外痔核の腫れが治まった後に、皮垂が形成されることがあります。
● 裂肛(切れ痔)の繰り返し
慢性的な裂肛では、炎症や傷の治癒を繰り返すことで、裂肛の外側に皮膚の隆起が形成されることがあります。
これは「見張りいぼ」と呼ばれ、肛門皮垂の一種として認められます。
● 妊娠・出産
妊娠中や出産時には、腹圧の上昇やいきみによって肛門に負担がかかり、痔核や肛門周囲の腫れを生じることがあります。
その後、腫れが引いた際に、伸びた皮膚が皮垂として残ることがあります。
② 肛門皮垂にはどのような症状がある?
肛門皮垂そのものには、通常、強い痛みはありません。
しかし、皮垂の大きさや数によっては、次のような症状が現れることがあります。
排便後の拭き取りにくさ: 皮膚のヒダの間に便が残りやすくなる
かゆみ・皮膚炎: 汚れや湿気、繰り返す拭き取りによって炎症が起こる
肛門の違和感: 下着との摩擦や皮膚のたるみが気になる
見た目の問題: 肛門周囲の皮膚の形状が気になる
特に皮垂が大きい場合や複数ある場合には、排便後の清拭が難しくなり、かゆみや皮膚炎を繰り返す原因となることがあります。
一方、小さく症状のない皮垂では、日常生活に支障をきたすことはほとんどありません。
③ 肛門皮垂の治療について
● 症状がなければ経過観察が可能
肛門皮垂は良性のため、痛みやかゆみなどの症状がなければ、必ずしも切除する必要はありません。
排便後の拭き取りにも問題がなく、日常生活に支障がなければ、そのまま経過をみることができます。
● 切除を検討する場合
一方、次のような場合には、外科的切除を検討します。
排便後に便を拭き取りにくい
かゆみや皮膚炎を繰り返す
肛門の違和感が強い
皮垂が大きく、日常生活に支障がある
見た目が気になり、切除を希望される
治療は、皮垂を外科的に切除する方法です。
比較的小さな皮垂では、局所麻酔による日帰り手術が可能な場合もあります。一方、大きな皮垂や複数の皮垂を切除する場合、ほかの肛門疾患を合併している場合には、入院での治療を検討することもあります。

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