坐骨直腸窩痔瘻は、肛門の背側の深い部分に出来る痔瘻で、痔瘻全体の約20%程度を占めます。
最も多い痔瘻は『低位筋間痔瘻』で全体の70%程度で、内肛門括約筋と外肛門括約筋の間に感染巣(原発巣)を認めます。
坐骨直腸窩痔瘻は外肛門括約筋を超えた、さらに深い部分に原発巣を形成します。
初発の段階である深い肛門周囲膿瘍である『坐骨直腸窩膿瘍』の場合には、表面的な変化が少なく、診断が難しい場合があります。症状としては肛門痛、肛門の重たい感じ、肛門背側の腫れ、発熱などが挙げられます。坐骨直腸窩膿瘍を認めた場合は、速やかに切開排膿術と抗生剤の投与を行います。
坐骨直腸窩膿瘍に対する切開排膿手術の後に、坐骨直腸窩痔瘻が形成されます。
坐骨直腸窩痔瘻の手術は、肛門科の中でも特に専門性が高い慎重な手術が必要です。
瘻管の入り口(原発口)と原発巣の処理を行うこと、肛門括約筋のダメージを少なくする手術を行うことが大切です。
当院では手術前に肛門内圧検査による肛門機能評価を行い、痔瘻手術における手術術式選択の一助としています。術前より各個人の肛門機能を評価した上で、それに見合った手術を行うことは手術後の肛門機能の維持に重要と考えています。
痔瘻の症状でお困りの場合は当院へご相談ください。