潰瘍性大腸炎やクローン病の新規の治療に抗インテグリン抗体製剤があります。
インテグリンは、細胞と細胞を接着させたり、細胞が組織内に侵入したりする時に重要な役割を果たします。
炎症性腸疾患では、リンパ球のインテグリンが腸管粘膜のインテグリンリガンドに結合し、リンパ球が腸の中に侵入することで、腸管の炎症が引き起こされています。
インテグリン阻害剤は、この接着分子であるインテグリンとインテグリンリガンドの結合を阻害することで、リンパ球の腸管への侵入を防ぎ、腸の炎症を抑制します。またステロイドや免疫抑制剤と比較して、副作用が少ない事が利点です。
現在エンタイビオとカログラの2種類の製剤が使用可能です。
【ベドリズマブ (エンタイビオ)】
投与方法は、点滴静注または皮下注射です。点滴では約30分以上の時間をかけて投与します。皮下注射では、週2回投与します。
ベドリズマブの作用機序は、Tリンパ球の表面に発現しているα4β7インテグリンと、腸管血管内皮に発現しているMAdCAM-1の接着を阻害し、Tリンパ球が腸管へ移動することを抑制し、腸管の炎症を軽減します。2018年に潰瘍性大腸炎に、2019年にクローン病に適応となりました。
【カロテグラストメチル (カログラ)】
日本で開発されたインテグリンを阻害する飲み薬(低分子化合物)です。
カログラはの作用機序は、Tリンパ球の表面に発現しているα4β1インテグリンとα4β7インテグリンの働きを抑えます。
2022年に潰瘍性大腸炎に適応となりました。カログラが適応となるのは、5-アミノサリチル酸製剤による治療効果が不十分な、中等症のUC患者さんです。
潰瘍性大腸炎やクローン病治療でお困りの際は当院へご相談ください。
