大腸メラノーシスとは、刺激性下剤を長期に服用することによって、大腸の粘膜にリポフスチンという色素が沈着し、粘膜が黒っぽく変色した状態を指します。
便秘の治療薬には大きく分けて、「刺激性下剤」と「非刺激性下剤」の2種類があります。詳細はコラム内の『「刺激性下剤」と「非刺激性下剤」の違いについて』の回を参照してください。
「刺激性下剤」は大腸を直接刺激して排便をしやすくする薬ですが、長期間連続して服用することで、耐性や大腸の色が黒くなるメラノーシスを生じることがあります。具体的にはセンナ(別名ゴールデンキャンドル・キャンドルブッシュ)、アロエ、ダイオウを成分に含む薬剤、健康食品、サプリメントを長期に服用することで生じます。
刺激性下剤を長く使い続けると、大腸の神経がダメージを受け、腸の動きがさらに鈍くなります。このため、下剤がないと排便できなくなり、メラノーシスが進行するという悪循環に陥ることがあります。
症状としては便秘以外の自覚症状はなく、診断は大腸内視鏡検査時に黒色の大腸粘膜として偶然発見されることがほとんどです。
大腸メラノーシスと大腸がんの直接的な因果関係は、現時点では否定的です。
大腸メラノーシスの改善には、原因となっている刺激性下剤の使用を中止することで、数か月から数年かけて徐々に改善し、粘膜の色は元に戻ります。刺激性下剤に頼っていた排便習慣を、腸への刺激が少ない非刺激性下剤へ徐々に変更することが大切です。
便秘治療でお困りの方や大腸メラノーシスが心配な方は当院へご相談ください。