肛門の痒み(かゆみ)で悩んでいる患者さんは、年齢や男女や季節に関係なく、多く来院されています。
肛門の痒みの原因は、大きく分けて『肛門そのものの問題』と『肛門周囲の皮膚の問題』があります。
まずは『肛門周囲の皮膚の問題』について解説します。痒みの原因となる病気別に説明します。
・肛門掻痒症(こうもんそうようしょう)・・・肛門の痒みの原因で最多です。温水便座の使用、洗いすぎ、拭きすぎなどにより皮膚のバリア機能が低下し、痒みを引き起こします。詳しくは『肛門のかゆみの原因、「温水便座症候群」とは?』のコラム回をご参照ください。
・真菌感染(カンジダ症)・・・湿気の多い環境である肛門周囲や股といった部分に「カビ菌」である真菌:カンジダ菌が増殖し、かゆみを引き起こします。足の水虫と同様です。
・肛門部ヘルペス・・・最初に痒みからはじまり、徐々に肛門周囲のかぶれやピリピリとした痛みを引き起こします。
・アトピー性皮膚炎・・・全身のアトピー性皮膚炎が悪化して肛門周囲に症状が出ることがあります。
・皮膚癌・・・初期の症状である痒みで気づく場合があります。
次に『肛門の問題』について解説します。肛門のさらに奥側である粘膜には痒みを感じる神経はありません。一方で肛門の病気が原因で肛門の外側~周囲皮膚に痒みを感じることがあります。原因となる病気を説明します。
・痔核(いぼ痔)や痔瘻(あな痔)があることで、肛門周囲に粘液が付着して痒みにつながることがあります。
・パジェット様進展・・・直腸がんの病変が肛門周囲の皮膚に進展し、肛門周囲の皮膚が赤くなり痒みを伴う場合があります。
早期の診断と適切な治療が大切です。
当院では週2回の皮膚科外来も併設しており、皮膚病が疑われる場合は専門的な診断と治療を受けることも可能です。
肛門部の痒みでお困りの方は当院へご相談ください。







