原因は肛門の少し内側にある肛門陰窩(いんか)という穴に細菌が入り、肛門陰窩から続く肛門腺という粘液を分泌する部分が感染をおこし膿がたまることです。この状態を肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)とよびます。
炎症が悪化し膿の量が増えると、自然に破れる場合もありますが、そうでない場合は病院で膿を出す切開排膿手術を行います。
その後に肛門陰窩から皮膚の切開した部分までが膿の通路となります。これを「痔瘻(じろう)」とよびます。
痔瘻は炎症が治まれば痛みは一旦改善しますが、その後に時々分泌物が出たり、しこりとして触れたりします。また痔瘻に感染がおこり再び肛門周囲膿瘍となると、痛みや発熱を認めます。手術による根本的な治療をするまではそのような症状を繰り返します。
痔瘻は通路の深さにより種類が分かれます。低位筋間痔瘻(ていいきんかんじろう)と呼ばれ浅い位置を通るものが7~8割程度ですが、通路が深く複雑な坐骨直腸窩痔瘻(ざこつちょくちょうかじろう)とよばれるものもあります。痔瘻の治療は複雑さや深さにより、術式や難易度も異なり、また術後の肛門機能にも影響を与えることから、専門医による治療が必要です。
痔瘻は放置したり、坐剤や軟膏といった薬では治りません。放置し続けてからの手術は肛門へのダメージが大きくなる場合があります。また7~10年以上経過すると慢性的な炎症から癌化(がんか、悪性になる)場合もあります。
症状でお困りの場合は当院へご相談ください。