大腸憩室とは大腸の壁に5~10㎜の袋状のへこみができた状態です。
憩室の原因は腸の中の圧力が上昇することで、動脈が大腸壁の筋層を貫通している部分が弱いために、同部が膨らむことで憩室ができます。
通常は無症状で、大腸内視鏡検査時などに偶然発見されることがほとんどですが、出血や腹痛の原因になる場合があります。
家族歴といった先天的な原因と、食物線維摂取不足といった後天的な問題があるとされています。
【大腸憩室炎】
大腸憩室内に炎症が起こり、腹痛が生じます。悪化すると憩室の周囲に膿瘍(膿のたまり)ができるたり、憩室穿孔(腸に穴が開くこと)により腹膜炎を引き起こします。
炎症の強さは腹部所見、採血、腹部CT検査等にて調べます。
軽症~中等症の憩室炎では、絶食のうえ点滴ならびに抗生剤を投与します。
憩室周囲膿瘍や憩室穿孔による腹膜炎の場合には、緊急手術となることもあります。
【大腸憩室出血】
痛みを伴わない血便が急に起こることが特徴です。
採血で貧血の進行を調べ、貧血が高度な場合や血圧が不安定なショック状態の際は、輸血が必要になる場合もあります。
診断は緊急内視鏡検査や腹部造影CT検査で行います。
自然に止血する場合もありますが、出血が持続している場合は内視鏡的止血術を行います。
内視鏡的止血術を行っても止血ができない場合は、出血している部分の憩室を取り除く大腸切除が必要となることもあります。
腹部症状でお困りの方は当院へご相談ください。