「直腸脱」は肛門から直腸が脱出する状態です。
脱出の程度により「完全直腸脱」と「不完全直腸脱」に分類されます。
脱出は大きい場合には10cm以上となる場合があります。
直腸脱は一般に高齢者で特に女性に多い病気ですが、排便時にいきみ過ぎることも一因となり、先天的な要因もあると若年者で発症する場合もあります。
直腸脱の治療は薬等による保存的治療法はなく、基本的には外科手術のみです。
手術方法は大きく分けて、『経腹式 (腹部を切開して手術)』と『経会陰式 (肛門からの手術)』に分類されます。
・『経腹式』 は脱出している直腸をつり上げて仙骨の骨膜と固定します。根治性は高いですが、全身麻酔の手術ですので侵襲(身体へのダメージ)があります。
・『経会陰式』は肛門から手術を行い、様々な手術術式があります。根治性は中程度ですが、半身麻酔または局所麻酔で手術時間が短いため、侵襲を少なく行うことが可能です。
当院ではGant-Miwa法+Thiersch法:ガントミワ+ティールッシュ法という『経会陰式』を行っています。
手術法は、脱出した直腸の粘膜を絞り染めの要領で徐々に縫い縮めます。すると直腸は肛門の中へ徐々に吸い込まれる様に入っていきます。肛門の周囲に伸縮性のある人工靱帯を挿入することで肛門括約筋収縮を補強します。
高齢化がすすみ、直腸脱症例は増加の一途をたどっています。症状でお困りの方は当院へご相談ください。