過剰な免疫反応による炎症が腸に起こる病気を「炎症性腸疾患」といい、潰瘍性大腸炎とクローン病の2つの病気があります。
クローン病の日本の推定患者数は約7-8万人で、難病の1つに指定されています。
10~20歳代と若年層で発症するケースが多く、男性のほうが女性より2倍程度発症しやすいことも特徴です。
クローン病は、口から肛門までの消化管に慢性的な炎症や潰瘍が生じる疾患です。
症状としては、腹痛、下痢や血便、発熱、体重減少、肛門付近の痛みや腫れなどがあります。
適切な治療をして症状が落ち着いている寛解状態が維持できれば、健康な人とほとんど変わらない日常生活を続けることが可能です。
しかし症状が悪化・再燃することがあり、この活動期が続くと栄養障害や貧血などの全身症状や慢性的な肛門症状など日常生活の質の低下に関わってきます。
そのほか、関節炎や目の虹彩炎、皮疹、口内炎など消化管以外の症状もあります。
日本では肛門の病変を認めることが多いことが報告されています。本邦での炎症性腸疾患専門19施設参加による672名のCrohn病症例の検討(iCREST-CD)において、新規のクローン病例における肛門病変合併率は48.9%であり、この合併頻度は欧米からの報告と比較し高率で有り、本邦のCrohn病診療における肛門病変の重要性があると報告されています。
またiCREST-CDでは、Crohn病診断時年齢における肛門病変の有無に関して、16歳以下では51.7%、17歳から39歳では56.2%、40歳以上では20.5%と、若年者ほど肛門病変合併が高率であったと報告しています。
肛門の病変は、クローン病患者さんの生活の質に直結していることから、その診断と治療は非常に重要です。
診断・治療等につきましては、後日ブログで書かせていただきます。
腹痛、下痢や血便、発熱、体重減少、肛門付近の痛みや腫れ等で、クローン病が心配やお困りの方は当院へご相談ください。