今回は痔における「外科手術」の適応について書かせていただきます。
痔の治療には主に、
①軟膏・座薬や内服薬といった薬物療法+排便状況の改善といった「保存的治療」
②「ALTA硬化療法」
③「外科手術」があります。
各治療を行う上で内痔核の脱出程度によるGoligher(ゴリガー)分類が目安になります。
分類は下の4段階に分かれています。
Ⅰ度:排便時にうっ血し、肛門内で膨隆する。
Ⅱ度:排便時に内痔核が脱出するが、排便後に自然還納する。
Ⅲ度:脱出を納めるのに用手的還納を要する。
Ⅳ度:痔核が大きく外痔核まで一塊化しているため完全には還納できない。
外科手術の対象になるのはⅢ度とⅣ度です。
排便のたびに脱肛し、指で押し込んでもすぐ出てきたり、歩いているときに脱肛するなど、Ⅲ度からⅣ度に達する内痔核では日常生活が困難となるため、手術が必要となります。
基本的には、まずは座薬や飲み薬などの薬物療法を行いますが、一定期間使用しても脱出や出血が続く場合は保存的療法の限界であり、手術を考慮する状態です。
また直腸粘膜の脱出を伴っている場合や長期に脱肛症状が続いている場合は、保存的治療で改善が得られない場合が多いです。
漫然と軟膏や座薬の治療を行っても治療日数や医療費ばかりが増えていく事が推定される場合は、早い段階で手術を提案する場合もあります。
2018年~2023年に当院へ受診された痔核初診患者さんの手術率は14.7%でした。
手術適応について当院では患者さんの希望を尊重し、慎重に決定しております。
手術の内容につきましては後日コラムで書かせていただきます。
痔の症状でお困りの場合は当院へご相談ください。